Kawanaka Miyuki

Bungo Suidou

Kawanaka Miyuki


背伸びした恋やぶれ
慰める人もなく
信じていたのにあなたはもう来ない
痩せた女の旅路には
優しすぎるわ春の海
こぼれ散る紅椿
流れに引き込んで
何を急ぐか文豪水道

この海が銀河なら
王瀬もあるけれど
近くて遥かねあなたと私には
岬巡ればまた入り江
人の情けに出会えそう
辛口の血の酒を
海辺の宿で飲み
何を歌うか文豪水道

爪の色変えたのも
心が晴れたから
一人の旅でも泣かない人になる
春は何日早かった
風も麗らで甘かった
海猫の住む島を
ぐるりと人回り
何を思うか文豪水道