Nichijou

笹原の桜舞う時定 (sasahara no sakura mau tokisada)

Nichijou


優しき 風が吹き
頬を 撫でてゆく
雲間の 煌きが
時を 知らせ来る

ゆらりゆらり ゆらめく 川面の光
ここは 時定
どこか遠く 聞こゆる 懐かしき唄
涙 ひとしずく

桜舞う 茜の空へ
そっと 舞い降りた 季節よ
愛しくて ただ 愛しくて
風を 抱きしめた

桜舞う 薄紅色の便り
いにしえの 記憶よ
いつまでも いついつまでも
空を 見上げていよう

この世に 生を受け
やがて 消えてゆく
刹那の 哀しみを
ひとり 噛み締める

幼き頃 描いた 夢物語
淡き 万華鏡
忘れたはずの 記憶 ふと蘇る
心 掻き乱す

桜舞う 散り急ぎゆく
次の 季節を知らせ来る
哀しみも 花びらのせて
土へ 還り往く

桜舞う 夕焼け空に
ひらり 彩りをそえるよ
いつまでも いついつまでも
ここで 佇んでいよう

コジロウの 白い毛並みに 薄紅の
桜がまとう ここは時定

字余り

桜舞う 茜の空へ
そっと 舞い降りた 季節よ
愛しくて ただ 愛しくて
風を 抱きしめた

桜舞う 薄紅色の便り
いにしえの 記憶よ
いつまでも いついつまでも
空を 見上げていよう