Naoko Gushima

Kugatsu No Umi (9月の海)

Naoko Gushima


やすらぎに いま ふれたくて
あしを はこんで いた くがつの うみ
すいこむ しおの かおり ゆびさきに まで
とけてゆく

すこし たかく なった そらから ふる
ひかりが そめてゆく なみを みたら
こころの なにもかもを
すててしまいたくなった

ひとりきり すごす ときを この うみに ながして
いっその こと ほかの だれかを
あいせたら あいせたなら

あたたかい しせんに みまもられながら
なみと こどもが たわむれてる
かすかに きこえてくる
わらいごえ かぜが さらう

おさない ひに ゆめみてた
あいは とおい かなた
おもいひとつ まもりぬくことが
どうして こんなに

やすらぎに いま ふれたくて
あしを はこんで いた くがつの うみ
はてなく ひろがるのは
あのひとの すきな あお