Arai Yumi

Sazanami

Arai Yumi


あきのひかりにきらめきながら
ゆびのすきまをにげてくさざなみ
ふたりでいったえんそうかいが
はじまるまえのげんのひびきのよう

つきのかたちのボートのうえで
すてきなひびをおもいでにしたい
ひざにひらいたたんぺんしゅうも
かぜがめくっていつのまにかエピローグ

あいがおわるのをたしかめずに
ひとりここへきてよかったの

オールももたずただよいながら
やさしいひとにてがみをかきたい
みじかいけれどたのしかったと
つよがりだけをきしのおちばにそえて

きりがみのもをゆっくりながれ
かえるきしべをおおいかくすように
もうしばらくはほんとうのあいを
みつけられずにさまよってもいいの

あいがおわるのをつくろったら
あすをいきるのにおくれたわ

オールももたずただよいながら
やさしいひとにてがみをかきたい
こころももじもすこしゆれてる
グレーのかげとわたしだけのじゅうがつ
グレーのかげとわたしだけのじゅうがつ